はじめに
PT2といえば、アースソフトから発売されていたテレビチューナーカードです。発売からかなりの年月が経っていますが、我が家では現在もPT2を使った録画サーバーが稼働しています。以前はATOMがオンボード搭載されているmini-ITXサイズのマザーボードにCentOSを入れて稼働していました。CentOSも終了してしまいましたし、何よりもATOMではtsファイルからmp4へのエンコードに時間がかかりすぎるため、リプレイスを行いました。
この録画サーバーをUbuntu 24.04へリプレイスしたのは、2024年11月末から12月初めごろです。その後も構成を大きく変えることなく稼働を続けており、2026年現在まで実際の録画環境として使用しています。
今回は、2024年末にUbuntu 24.04環境へ再構築し、その後実際に運用を続けてきた録画サーバーをあらためて確認し、2026年現在でもPT2が使えるのか、実際の構成や設定を振り返りながらまとめてみます。
結論から言ってしまうと、PT2は2026年現在でもUbuntu 24.04上で問題なく動作しています。
今回の録画サーバー構成
今回確認した環境は以下のようになっています。
- OS:Ubuntu 24.04 LTS
- チューナー:アースソフト PT2
- 録画コマンド:recpt1
- カードリーダー:SCR3310
- Mirakurun:3.9.0-rc.4
- EPGStation:2.10.0
- Node.js:18.20.5
サーバーのスペックは以下の通りです。
| 項目 | 構成 |
|---|---|
| OS | Ubuntu 24.04 LTS(64bit) |
| CPU | Intel Core i7-3770 3.40GHz(4コア / 8スレッド) |
| マザーボード | ソケットLGA1155 Intel H61 |
| メモリ | DDR3-1600 16GB(8GB×2) |
| システムディスク | Seagate ST6000DM003 6TB |
| 録画用ディスク | Western Digital WUH721816AL 16TB |
| NIC | オンボード Gigabit Ethernet(Realtek RTL8111/8168系) |
CPUやマザーボードはかなり古い世代ですが、PT2自体がPCI接続のカードなので、PCIスロットを備えたこの世代のマザーボードはむしろ都合がよい構成です。録画用HDDについては16TBへ大容量化し、OSやMirakurun・EPGStationは現在の環境へ更新しながら使い続けています。ソケットLGA1155のマザーボードも非常に少なくなってきており、Amazonで謎の中華メーカーのものを使用してみました。思いのほか安定して稼働しているので結果オーライです。PCIスロットがついていない最近のマザーボードでもPCI Expressをライザーカードを使ってPCIに変換して使用する方法もあるそうですが、それは次回のリプレイスのころに考えます。
大まかな構成は次のようになっています。
PT2
↓
pt1_drv
↓
/dev/pt1video*
↓
recpt1
↓
Mirakurun
↓
EPGStation
↓
録画・ブラウザ視聴Ubuntu 24.04 LTSのインストールはインターネットに情報がたくさんあるので割愛させていただきます。
今回使用するPT2
今回使用するのはこちらのアースソフト PT2。発売からかなり時間が経っていますが、現在も現役です。


PT2は地上デジタル放送を2系統、BS/CS放送を2系統受信できるチューナーカードです。
アンテナ入力端子は4つあります。

このようなアンテナ分波器を使って4つのアンテナ入力端子にアンテナを接続します。

今となってはかなり古いPCI接続のカードですが、これをUbuntu 24.04の録画サーバーで使っていきます。
録画サーバーへPT2を搭載
録画サーバーは19インチラック内に設置しています。

PT2はPCI ExpressではなくPCI接続なので、マザーボード側にもPCIスロットが必要です。
今回使用しているマザーボードにはPCIスロットが残っているため、そのままPT2を取り付けることができます。

録画サーバー内部。PT2をPCIスロットへ装着しています。
PT2部分を近くから見るとこんな感じです。

B-CASカードとカードリーダー
カードリーダーにはSCR3310を使用しています。

普段触る必要がない機器なので、USBケーブルを接続したままに収めて運用しています。
マザーボードUSB引き出しピンからUSB端子に変換するコネクタを使用してケース内にUSB端子を設置しています。なお、B-CASカードの番号などは公開する必要がないため、ブログへ掲載する写真ではカード番号やバーコードが読み取れないように加工しています。

Ubuntu 24.04からPT2を認識させる
今回の録画サーバーではUbuntu 24.04 LTSを使用しています。PT2自体はかなり古いハードウェアですが、Linuxでは現在でも利用できます。
この録画サーバーでは、以前から使用していたpt1_drv+recpt1の構成を引き続き使用しています。
PT2のデバイスを確認する
PT2が正常に認識されているか確認します。
ls -l /dev/pt1video*今回の環境では、以下の4つのデバイスが作成されています。

PT2には4つのチューナーが搭載されているため、それぞれがデバイスとして見えています。
pt1_drvが読み込まれていることを確認
続いて、PT2用のドライバが読み込まれていることを確認します。
lsmod | grep pt1今回の環境では、次のようにpt1_drvが読み込まれています。
pt1_drv 49152 2さらにmodinfoでも確認できます。
modinfo pt1_drv | head -10
Ubuntu標準のearth_pt1ではなくpt1_drvを使用
ここで少しややこしいのがPT2のドライバです。Ubuntu 24.04には、PT1/PT2に対応したLinuxカーネル標準のDVBドライバearth_pt1も存在しています。
一方、私のリプレイス前の録画サーバーから以下の構成を使用してきました。
PT2
↓
pt1_drv
↓
/dev/pt1video*
↓
recpt1そのため今回の再構築でも、既存環境との互換性を優先してpt1_drv+recpt1の構成を引き継いでいます。
実際、この環境ではカーネル標準のearth_pt1をブラックリストへ登録し、pt1_drvを使用しています。earth_pt1が使えないという意味ではありません。
むしろ新しくPT2録画サーバーを構築するのであれば、Linux標準のDVBドライバを利用する構成も選択肢になります。
現在のサーバーは安定して動いているため、無理に変更せず、次回サーバーそのものをリプレイスするときに試してみようと思っています。
recpt1で実際に録画してみる
デバイスが見えているだけでは、本当に放送を受信できているのか分かりません。
そこでrecpt1を使って、実際に短時間の録画テストを行いました。
今回は以下のコマンドで10秒間の録画を行っています。
recpt1 --b25 --device /dev/pt1video2 27 10 /tmp/pt2-test.ts実行すると、次のように録画が開始されました。

recpt1で実際に放送を受信してTSファイルを作成。正常に録画できました。
録画後にファイルを確認すると、TSファイルが作成されていました。
これで、
PT2
↓
pt1_drv
↓
recpt1
↓
TSファイルまで正常に動作していることが確認できました。
録画したTSファイルをffprobeで確認
せっかくなので、作成されたTSファイルの中身も確認してみます。
確認にはFFmpegに含まれるffprobeを使用しました。
映像ストリームを確認
TSファイルに含まれる映像ストリームだけを表示してみます。
ffprobe -v error \
-select_streams v \
-show_entries stream=codec_name,width,height,r_frame_rate \
-of compact=p=0:nk=0 \
/tmp/pt2-test.ts 2>/dev/null | grep -v '^$'結果には、例えば次のような情報が表示されました。

以下の部分から1440×1080のMPEG-2 Videoなど、映像ストリームが含まれていることを確認できます。
codec_name=mpeg2video|width=1440|height=1080|r_frame_rate=30000/1001
codec_name=h264|width=320|height=180|r_frame_rate=15000/1001音声ストリームも確認
同じように音声だけを取り出して確認します。
ffprobe -v error \
-select_streams a \
-show_entries stream=codec_name,sample_rate,channels \
-of compact=p=0:nk=0 \
/tmp/pt2-test.ts 2>/dev/null | grep -v '^$'
今回のファイルでは、以下のストリームが確認できました。
codec_name=aac|sample_rate=48000|channels=2映像だけでなく、AAC 48kHz・2chの音声ストリームも正常に含まれています。
MirakurunでPT2を管理する
recpt1を直接実行すれば録画自体はできますが、普段の録画サーバーとして利用するにはチューナーやチャンネルをまとめて管理した方が便利です。
そこで、この録画サーバーではMirakurunを使用しています。
現在使用しているバージョンはMirakurun 3.9.0-rc.4です。
ここまでを含めた構成は次のようになります。
PT2
↓
pt1_drv
↓
/dev/pt1video*
↓
recpt1
↓
MirakurunMirakurunがPT2の各チューナーを管理し、その上からEPGStationを利用しています。
EPGStationで番組表・録画を管理
録画管理にはEPGStation 2.10.0を使用しています。
EPGStationからMirakurunへ接続することで、Webブラウザから番組表の表示、録画予約、録画済み番組の管理などができます。

昔のLinux録画サーバーというと、コマンドライン中心で少々とっつきにくいイメージがありますが、EPGStationまで構築してしまえば、普段の操作はWebブラウザから行えるのでかなり使いやすくなります。
EPGStationから実際にテレビを視聴
録画だけではなく、EPGStationから放送中の番組を選択してブラウザ上で視聴することもできます。
※放送番組の映像部分は掲載時に加工しています

ここまで来れば、PT2が単にLinuxから認識されているだけではなく、実際のテレビチューナーとして機能していることが分かります。
録画した番組もEPGStationから管理
録画した番組はEPGStationの「録画済み」から一覧表示できます。
※録画番組の映像部分は掲載時に加工しています

我が家ではこの構成を実際の録画環境として使用しています。
録画データ用ストレージ
テレビ録画ではTSファイルをそのまま保存すると容量をかなり消費します。
そのため、録画データ用に大容量のストレージ領域を用意しています。
今回のサーバーではLVMを使用して録画用ストレージを /ma-tv2 にマウントしています。
その配下に、録画データやサムネイルを保存するディレクトリを用意しています。
/ma-tv2/recorded
/ma-tv2/thumbnailEPGStationの config.yml では、録画データの保存先に /ma-tv2/recorded、サムネイルの保存先に /ma-tv2/thumbnail を指定しています。
このあたりはPT2そのものとは直接関係しないため、今回は詳しいストレージ構築については省略します。
MirakurunとEPGStationはPM2で常時稼働
MirakurunとEPGStationは録画予約を処理する必要があるため、常時稼働させています。
現在の環境ではPM2を利用してプロセスを管理しています。
これにより録画サーバーとして常時動作させています。
2026年でもPT2は現役だった
今回あらためて現在の環境を確認してみましたが、2024年末にUbuntu 24.04へ再構築してから約1年9か月、PT2は大きな構成変更をすることなく録画サーバーとして稼働を続けています。現在もラック内で稼働中のPT2録画サーバー。PT2が発売された時期を考えると、かなり長寿命なハードウェアです。もちろん最新のハードウェアではありませんし、PCIスロットを搭載したマザーボードも少なくなってきています。それでも、すでにPT2を持っていて動作する環境があるのであれば、2026年現在でも十分実用になることが分かりました。
次にサーバーをリプレイスするときはearth_pt1も試したい
今回は既存環境を引き継ぐためpt1_drv+recpt1を使用しました。一方、UbuntuにはPT1/PT2用のDVBドライバearth_pt1が標準で用意されています。現在の環境が安定している状態で、わざわざドライバ構成を変更する必要はないと考えています。
ただし、次に録画サーバー自体をリプレイスするときには、以下の構成も試してみたいところです。
PT2
↓
earth_pt1
↓
Linux DVB
↓
Mirakurunそのときは、今回のpt1_drv+recpt1構成との違いも含めて記事にしてみたいと思います。
まとめ
今回はUbuntu 24.04上で現在稼働しているPT2録画サーバーの構成をあらためて確認してみました。
現在の構成をまとめると、以下のようになっています。
PT2
↓
pt1_drv
↓
recpt1
↓
Mirakurun
↓
EPGStation
↓
録画・ブラウザ視聴実際にrecpt1でTSファイルを作成し、ffprobeで映像・音声ストリームを確認し、最終的にはEPGStationからテレビを視聴できるところまで確認できました。
古いハードウェアだからといって、必ずしも使えなくなるわけではありません。
PT2は2026年現在でも、我が家では立派な現役機です。
ちなみに、手元にはもう1枚PT2があります。2枚搭載すればさらにチューナー数を増やせますが、そこまで同時に録画する番組があるのかという問題もあります(笑)。
そして、このサーバーで録画したデータは、そのままこの場所に置いているわけではありません。
拠点間VPNを経由して、自宅側へ自動転送しています。
この仕組みについては、次回「lsyncd+rsyncで録画データを自宅へ自動転送する」として別の記事にまとめたいと思います。
執筆者:管理人
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